「良い音」への追及
音質を良くしてオーディオを楽しむ最も重要なものは、デッキ・アンプではなくスピーカーである事は前記しました。この項では主にスピーカーについての記述になります。
スピーカーを取り付ける個所は、フロントドアとリアドア或いはリアトレイやバンではサイドパネル等になります。音質を良くするには、とにかくスピーカーユニットの数を増やすのが一番。
その理由は、車の中に於いてスピーカーユニットはその性能を100%発揮出来ない為に周波数特性が落ちるのが必至です。ですから、一般的なウーハーとツィータセットとサブウーハーの組み合わせでは、まともな音質になる訳がありません。
当店では予算に応じたスピーカーの数で音質を作り分けています。
最も安価なシステムでは3wayですが、順次4way以上の数を増やします。
最高で10wayにもなります。
※wayとは種類の様な意味です。
スピーカーは単純にデッドニングして付ければ良いのではなく、周波数と音圧の関係が重要で、
複数のユニットを使う事により個々のユニットが受け持つ帯域を狭くして使えば音圧を上げる事が出来ます。個々の音圧を上げる効果は聴感上の音質に絶大な効果があります。
複数使うメリットは他にも有り、例えばフロント3wayの場合、この3音の間の音をリアの他のユニットで補い音の隙間を埋める事が出来ます。この様な作業で低音から高音までの音の密度が増えるので、結果的に「良い音」になるのです。これらの音を整然とつなげる音合わせは自分の耳で行います。機械で合わせる事は不可能でしょう。
スピーカーを「鳴らす」行為は、「振動を抑える」と言う事は皆さんは漠然と認識していると思います。
プロが考える振動とは、スピーカーを含めコーン紙が振動する事により周りの部材の内部振動の種類です。鉄板・木材などがどの様に振動するかを把握し、スピーカーに与える影響を理解しつつ周波数特性を揃えるのです。
スピーカーユニットを取り付ける位置に関しては、付けやすい場所であればどこでも良いでしょう。
ユニットの向き(方向)は一切関係ありません。自分の方向に向ける傾向を見かけますが、やってはいけない方法です。
ユニットの中で最も音圧のあるツィータをピラーなどに設置していますが、この位置ですと全体の音を合わせるのがとても難しい作業になります。
当店では30年以上前にツィータをピラーなど高い位置に設置して、何とか苦労しながらも音作りをしていましたが、最終的に音を上手く合わせる事が出来ずに下方に修正しています。
音を造り出す作業は、まず音を知る事から始まります。
2016年11月27日追記
良い音へと追及するには今までの概念を考え直す事から始めない限り前進するのは難しいのではないかと思っています。
別の項でくどくどと程説明していますが、機器類に頼るとどうしても最重要なスピーカーに目がいかなくなります。ソフトの信号を具体化するのはスピーカーですから、音質を決定付ける一番大切な部分。これは決して価格やブランドでは解決できないものです。
チューニングされた音質を文章で語るのは非常に難しいのですが、多くのお客様の意見や私自身の取り組みから説明します。
楽曲によって音の種類が異なるので、満遍なく音が出ていないと不満が出てしまいます。
低音は周波数と音圧の幅が広い為ウーハーがしっかり鳴らないと楽器の種類を判別できずどんな曲も同じ低音に聴こえてしまう。
当店では特に低音をしっかり鳴らす為、理論的にコーン紙の動きを研究試行錯誤の結果、ウーハー取り付け面全体(バッフル面)に重量(質量)を持たせコーン紙裏の逆波形を遮断させることによって、細かな低音再生が大幅に改善され重厚な低音になったのです。
(※この作業は1979年頃に発案した技術で、今では皆さんご存知のデッドニングというものです)
中音では低音との繋がりが大切で波形に途切れがあってはダメ。低域と高域に繋がるように中域ユニットを選び、音圧を合わせるとボーカルや楽器に艶が出る以外に聴きやすい音の流れが可能。
高音に関しても同様で、ユニットのブランド・価格は無関係で中域波形との繋がりが重要になり、どこまでも伸びる高域ユニットを選択します。
殆どのカー専用ユニットですとドーム型ツィータをDIY用に採用してますので、途中で高域が途切れます。メーカーが優れたキャッチコピーで、○○の高域再生・・・この様なコピーをうたってますが、あくまでもドームなのです・・・
ドームツィータの理屈では、高音は途中までしか再生しなくても良い使い方をするユニット。普通は、ホーンやリボンを使います。メーカーがリリースする2wayスピーカーセットの殆どは、あくまでもDIYが主目的として素人でも取り付けが可能な製品を作らないと売れないので、使い易いドームツィータを使わざるを得ない苦肉の策なのでしょう。
低・中・高域をきちんとチューニングされた音質は、当店のお客様以外の方には想像し難いかと思いますが、今までに経験のない音になってるのではないでしょうか。
ソフトに含まれる音が精査され満遍なく再生されてますから、とても気分の良い音でしょう。楽曲によって音の良し悪しがないので、いちいち音の調整をする必要もありません。
あらゆる表現ができるのですが、奥行き感・レスポンスの良さ・臨場感・聴き疲れがなく長時間聴いても疲れない・キメの細かさ・高揚感・・・など、
聴いて実際に経験してみる価値は充分あるかと思っています。是非、一度は試聴してみて下さい。